【お知らせ】ブログの進め方

【気になるあの魚の漁獲量は?】日本における 漁獲量の推移 について

日本における 漁獲量の推移 について

 

うぉーらる

当ブログにお越しいただきありがとうございます!
管理人のうぉーらるです。

近年、ニュースで「○○の魚が不漁だ」という言葉を耳にすることが多くなりました。
その中でも特に多いのは「さんま」ではないでしょうか?

次のグラフをご覧ください。

全国さんま棒受網漁業協同組合の統計をもとに筆者が作成

このグラフはさんまの水揚げ量の推移を示しているのですが、約10年で9割減少していることが分かります。

この影響はさんまの価格に表れています。
総務省 消費者物価指数(CPI)によると、2020年を100とすると、2008年のさんまのCPIは52.3であり、約10年間でおよそ2倍の値段になっていることが分かります。
 

このように、さかなの漁獲量を見ることで、日本のさかな事情が分かってきます。

そこで今回は、日本における漁獲量の推移について説明していきたいと思います!

今回はゲストとして、先ほどご紹介したサンマさんに来ていただいています!
それではどうぞ!!

 

サンマ

皆さま、初めまして。
ご紹介いただきましたサンマです。
自身のことも含め、日本の漁獲量の現状について学びたいと思い、ゲストとして招待していただきました。
今回はよろしくお願いいたします。

 

うぉーらる

ご丁寧にありがとうございます😊
サンマさん、こちらこそよろしくお願いします!

それでは本題に移っていきましょう。

 

 

最新(2020年)の漁獲量情報

 

うぉーらる

まずは、ブログ執筆時点(2020年)における日本の漁獲量について見ていきたいと思います。

 

サンマ

よろしくお願いいたします🙇

 

今回は農林水産省が公表する令和2年漁業・養殖業生産統計を参考にして説明していきます。

この統計によると、令和2年(2020年)の漁業・養殖業の漁獲量は417万5000トンであり、昨年と比較して0.5%減少しています。

次にさかな別の漁獲量を見ていきます。
今回は構成の都合上、海面漁業に注目し、内水面漁業および養殖業については割愛させていただきます。ご了承ください。
興味のある方は令和2年漁業・養殖業生産統計を各自ご覧ください。)

引用:農林水産省 令和2年漁業・養殖業生産統計

このグラフは海面漁業において主要なさかな別の漁獲量を示しています。

見ての通り、令和2年における海面漁業の漁獲量BEST5は、

1位:まいわし
2位:さば類(まさば・ごまさば)
3位:ほたてがい
4位:かつお
5位:すけとうだら

となっています。

また、これら5種に限って見ると、昨年と比較してまいわし、ほたてがい、すけとうだらは増加しさば類とかつおは減少した結果となっています。

この動向について、令和2年漁業・養殖業生産統計では以下のように説明されています。

ア)まいわしは70 万 500tで、島根県、宮崎県等で増加したことから、前年に比べて
14 万 4,100t(25.9%)増加した。

(イ) さば類は 37 万 6,600tで、三重県、長崎県等で減少したことから、前年に比べて
7万 3,800t(16.4%)減少した。

(ウ) ほたてがいは 34 万 6,000tで、北海道で増加したことから、前年に比べて
6,600t(1.9 %)増加した。

(エ) かつおは 16 万 2,500tで、宮城県、静岡県等で減少したことから、前年に比べて
6万 6,400t(29.0%)減少した。

(オ) すけとうだらは 16 万 100tで、北海道で増加したことから、前年に比べて
6,100t(4.0 %)増加した。

令和2年漁業・養殖業生産統計

 

サンマ

2019年と比較して、やはり漁獲量は減少しているのですね。

 

うぉーらる

そうです。
増えたさかなもいる一方で、それよりも減ったさかなの割合の方が大きいということですね…

 

さかな別の漁獲量の推移

 

うぉーらる

次に、先ほど出てきた5種類のさかなについて、より詳しく説明していきます。

 

次のグラフをご覧ください。

引用:農林水産省 令和2年漁業・養殖業生産統計

このグラフは海面漁業において主要なさかな別の漁獲量の5年間の推移を示しています。
 

まいわし

まず目に入ってくるのが「まいわし」だと思います。

ここ5年間でまいわしの漁獲量が急増加しています。

この増加は、海洋環境の変化、具体的には寒冷期と温暖期が入れ替わる現象(レジームシフト)によるものであると考えられます。

レジームシフトについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

https://fishbyme.com/what-is-regime-shift/
 

さば類

続いて「さば類」についてです。

さば類はここ5年間で漁獲量が減少しています。

ここであれ?と思われた方は流石です👏
さば類に含まれる「まさば」に関してはこちらもまいわしと同様に、レジームシフトによって近年増加していると言われています。
ただし、増加しているのはあくまで資源量であり、漁獲量に関してはここ数年で減少していると報告されています。

このように資源量は増加しているのにも関わらず、日本の漁獲量が減少している理由としては、さばの需要の増加により中国や韓国などの漁獲量が年々増加していることが考えられます。
より多くのさばを漁獲するため、中国や韓国が漁業範囲を拡大してさばの乱獲を行うようになったことが、日本近海のまさばの資源量の減少と関係しているのではないか、と私は考えています。

また、同じくさば類に含まれる「ごまさば」に関しては、資源量・漁獲量ともに減少していると報告されています。

(参考:umito. サバペディア
 

ほたてがい

続いて「ほたてがい」についてです。

ほたてがいはここ5年間では漁獲量が増加しています。

ほたてがいは日本の農林水産物の輸出量No.1であり、中国など外国での需要が年々増加しているそうです。
ほたてがいは人の手によって計画生産されていることを踏まえると、この需要の増加がほたてがいの漁獲量増加に繋がっているのではないかと考えています。
 

かつお

続いて「かつお」についてです。

かつおはここ3年で見ると漁獲量が減少しています。

この原因として、日本の太平洋側に沿って流れる日本海流(黒潮)の大蛇行が考えられています。
これによって、かつおの移動パターンが変化し、漁場が離れてしまったため、減少する結果となったと考えられます。
 

すけとうだら

最後は「すけとうだら」についてです。

すけとうだらはここ5年間では漁獲量が増加しています。

すけとうだらは乱獲により漁獲量が大幅に減少した結果、法的な漁獲可能量(TAC)制度の対象となり、漁獲量が厳しく制御されています。
この漁業規制が功を奏して、すけとうだらの漁獲量が増加しているのではないかと考えています。

 

サンマ

漁獲量が増加している場合でも減少している場合でも、その理由はそれぞれ異なっていることが興味深いと思いました。

 

うぉーらる

私もそれぞれ調べながら同じことを思っていました。
水産資源が増加/減少する要因には、自然的なもの、人為的なもの、どちらもあるんだなと。

同時に、水産資源保護の難しさを改めて認識させられましたね🤔

 

サンマ

仰る通りだと思います。

 

不漁3種について

 

うぉーらる

先ほど示した海面漁業主要魚種別漁獲量の推移のグラフにおいて、多くの種類がグラフ底部に集まっていることが見て分かります。

最近ではこの中でも特に、「さんま」「さけ類」「するめいかの3種類が深刻な漁獲量不足となっています。

 

サンマ

残念ながら私も入っていますね…

理由は分かっているのでしょうか?

 

うぉーらる

これと断言はできないですが、いくつか原因が考えられています。

これら3種類について、それぞれ見ていきましょう!

 

さんま

このブログの最初でも説明しましたが、さんまの漁獲量は約10年で9割減少しています。

この原因としては、先ほどまいわしとさば類でも出てきたレジームシフトによる魚種の変化(漁場にいわしが多いとさんまが避けて離れてしまう傾向があるそうです。)や、中国や台湾が日本の排他的経済水域ギリギリまで近づき、そこでさんまを大量に漁獲している、などといったものが考えられています。

さけ類

今回は日本のさけ漁獲量の9割を占める北海道で漁獲される秋さけの漁獲量に注目します。

北海道秋さけ漁獲速報の統計をもとに筆者が作成

北海道の秋さけは、2004年には6000万尾を超える漁獲量を記録し、以後も4000万尾前後の高い漁獲量を維持していましたが、このグラフが示すように、2016年以降から減少傾向が見られ、2020年では2000万尾を下回る過去最低水準となりました。
(一部、ととけん副読本2021年版を参照)

この原因の1つとしては、温暖化によるさけの回帰率の低下が考えられています。

さけは川で生まれて、海に降りて成長し、再び川に戻ってきて産卵をして一生を終えるという生態を持つことは皆さんご存じだと思います。
また、さけは北方に生息する魚なので、低い水温を好みます。

温暖化で海水温が上昇することで、日本沿岸における稚魚の滞在期間が短くなり十分に成長しきっていない状態で沖合に移動しなければならなくなります。
その結果として、生存できる数が減少し、それによって回帰率も減少するという現状となっているようです。

一方で、矛盾する内容となるのですが、
オホーツク海において海水温が上昇することでさけの成長速度が速まり、生存確率が上がるという研究結果も出ているようです。
気候変動とサケ資源についてを参照)

生物の生態は複雑であることを痛感させられます。

するめいか

農林水産省 令和2年漁業・養殖業生産統計をもとに筆者が作成

このグラフによると、するめいかの漁獲量は2011年には25万トン近くあったにも関わらず、2020年では5万トンとなり、約10年で漁獲量が5分の1に減少していることが分かります。

特に北海道のするめいか漁獲量が大幅に減少しており、2020年は前年(2019年)と比べて44%減の約6000トンで、これは1985年から統計を取り始めて以来最少となりました。

また、不漁に加えて、コロナで需要が減少し、かつて100億円を超えていた漁獲金額が約38億円までに低迷している現状となっています。
(一部、ととけん副読本2021年版を参照)

するめいか漁獲量の減少の原因としては、地球温暖化による海洋環境の変化中国など諸外国の漁業拡大が考えられています。 

 

サンマ

なるほど。
私の場合は自然的原因と人為的原因の両方が考えられているのですか。

不漁を解決するためには険しい道のりを歩む必要がありそうです。

 

うぉーらる

そうですね。
後ほど述べますが、自然的原因は我々の手ではどうにもできないので、まずは人為的原因の解決に取り込むべきだと私は考えています。

 

最後に

 

うぉーらる

今回は日本における漁獲量の推移を追って、注目種における現状とその原因について説明しました。

 

サンマ

1種類ずつ詳しく説明されていて、非常に分かりやすかったです。

 

うぉーらる

そう言っていただけて幸いです😊

ここまでお読みいただいた方はお気づきかと思いますが、現在の日本は、
これまで多く獲れていたはずだが継続的に獲れなくなっているさかなが増えてきている
という現状にあります。

この原因としては、レジームシフトといった自然によるのものもありますが、どちらかと言えば地球温暖化や乱獲といった人間によるものの方が影響として大きいのではないかと私は考えています。
しかしこの場合、裏を返せば人間の今後の行動次第で漁獲量を回復させることができると考えることができます。

現在、水産庁では、不漁が深刻な「さんま」「さけ類」「するめいか」を対象に不漁の原因を多角的に分析し、それを踏まえた今後の対策を決定していくための検討会が行われているそうです。
そう遠くはない将来において全てのさかなの漁獲量が上昇することを目標にぜひとも頑張っていただきたいと思います。

そして、私たちにできることは少ないですが、魚を学ぶ身として少なくとも、これまで述べてきたような現状にあるという認識を持っておくことが大切だと思います!

 

サンマ

漁獲量の回復に向けた取り組みが行われ始めているのですね。

皆さまが協力し合い、どうか私たち仲間の数を増やしてください🙇

 

うぉーらる

任せてください😁
私個人としましても、できることから取り組んでいきたいと思います!

 

サンマ

うぉーらるさん、今回はためになる説明をありがとうございました。
またいつでも呼んでください。

それでは、さようなら。

 

うぉーらる

こちらこそありがとうございました!
またぜひお越しください😊

皆さま、ここまでお読みいただきありがとうございました!

それではまた次回のブログでお会いしましょう!

お疲れ様でした~😄

 

2022.05.15 うぉーらる