海のレジームシフト とは?
皆さま、初めまして!
マサバと申します。
よろしくお願いいたします😄
マサバさん、よろしくね!
それでは早速「海のレジームシフト」について見ていきましょう!
海のレジームシフトとは?
そもそも「レジームシフト」という言葉を初めて聞いたのですが、この言葉はどのような意味なのですか?
そうだよね😅
まずはそこから説明していきます!
レジームシフトとは、
気候が短期間に地球規模である状態から別の状態へと遷移すること。また、その影響を受けて、環境や生態系が大きく変化する現象をいう。
コトバンク
という意味の言葉です。
つまり、海のレジームシフトとは、海の気候がある状態からある状態へ遷移し、その影響によって海の生態系が大きく変化することを意味します。
では、その海の気候の変化とは具体的にどのような変化なのでしょうか?
実は、このブログの初めにお見せしたグラフに答えが載っていたのですが、皆さまお気づきでしたか?
海の気候変化とは、海水温が低くなる「寒冷期」と海水温が高くなる「温暖期」の2つの期間が交互に繰り返されることを言います。
この水温の変化は、海の表面水温で平均2℃前後と言われています。
たった2℃と思われた方もいるかもしれませんが、海水温が1年で10~15℃前後しか変化しないことを踏まえると、平均2℃変化することの影響の大きさが分かると思います。
このような海水温の変化が生じる原因についてまだ分かっていないことが多いようですが、太平洋側においては、アラスカ湾に中心を持つアリューシャン低気圧の勢力変化が原因の1つとして考えられています。
具体的には、冬季にアリューシャン低気圧の勢力が強い場合、夏季に北海道近海を南下する親潮の海水温が下がることとなります。さらに、この南下が強まることで、黒潮の続流(房総半島沖から東向きに流れる黒潮)域の表層水温が低下し、下層の栄養豊富な海水が上昇して、その結果、エサとなるプランクトンが増えることとなります。
アリューシャン低気圧の勢力が弱い場合は上述した内容と逆の現象が起こり、黒潮の北上が強まることとなります。
(参考:海洋生態系と水産資源ー持続的水産資源管理の高度化を目指してー、2019年ととけん副読本)
このアリューシャン低気圧の勢力の変化が数10年単位で起こるため、海のレジームシフトも同じタイミングで起こるという訳です。
海のレジームシフトが起こる仕組みについてよく分かりました!
この仕組みに低気圧という海以外の外部の要素が関係しているとは面白いですね!
そうですね!
自然は多数の要素が複雑に関係し合って成り立っているということを改めて実感させられます😳
それでは次に、海のレジームシフトの影響を受けるさかなについて説明していきたいと思います。
レジームシフトの影響を受けるさかなの種類は?
この海のレジームシフトの影響を受けやすいさかながいるのですが、マサバさんは分かりますか?
う~ん…
海の深いところは水温の変化が小さそうだから、そこに住んでいるさかなは海のレジームシフトの影響をあまり受けないと考えられるので…
その逆の、海の浅いところに住んでいるさかなですか?
大正解👏
考え方も論理的で素晴らしいです!
(さてはマサバさん天才か…!)
それでは詳しくご説明します。
レジームシフトの影響を受けるさかなの例として、イワシ・アジ・サバ・サンマ・スルメイカなどといった「浮き魚」と呼ばれるさかなが挙げられます。
(浮き魚:主に水面近くで生活している魚)
特に代表的なのが、「マイワシ」と「カタクチイワシ」です。
マイワシは低温(参考資料では16.2℃)で成長が最大となり、カタクチイワシはマイワシよりも高い水温(参考資料では22℃)で成長が最大となります。
(参考:気候変動が水産資源の変動に与える影響を理解する上での問題点と今後の展望)
このように、マイワシとカタクチイワシでは生存に適切な水温が異なります。
また、先ほどアリューシャン低気圧の勢力が強まり、親潮が南下することでエサとなるプランクトンが増えると説明しましたが、このプランクトンは主にマイワシのエサとなることが知られています。
反対に、アリューシャン低気圧の勢力が弱まると、エサが少なくなるのでマイワシが減少し、さらに、暖かい黒潮が北上することで黒潮に乗ってカタクチイワシがエサの豊富な北方の海域に進行することができるようになることが知られています。
(参考:海洋生態系と水産資源ー持続的水産資源管理の高度化を目指してー、ととけん副読本2020年版、2021年版)
これらのことを踏まえると、海のレジームシフトにおいて、マイワシは「寒冷期」が最適であり、反対にカタクチイワシは「温暖期」が最適であるということが分かります。
ここでもう一度、この記事で最初にお見せしたグラフを見てみましょう!
確かに、寒冷期にマイワシの漁獲量が増え、温暖期にカタクチイワシの漁獲量が増えています。(ここでは漁獲量=資源量と考えています。)
また他の浮き魚については、
・マサバはマイワシを主にエサとしているために、マイワシと同じタイミングで漁獲量が増加する。
・マアジはカタクチイワシを主にエサとしているために、カタクチイワシと同じタイミングで漁獲量が増加する。
・スルメイカはカタクチイワシと同様、「温暖期」に適しているため、上のグラフが示すように温暖期で漁獲量が増加する。
といった関係性があります。
サンマに関しては、まだ詳しい関係性が分かっていないそうですが、サンマは太平洋の南で生まれて黒潮に乗って北上すること、どうやら歴史的にイワシやサバがいると逃げてしまう傾向があることを踏まえると、マイワシやマサバが少ない「温暖期」に漁獲量が増加するのではないかと私は考えています。
一方で不思議なことに、ブリやカツオなど、アジやイワシを食べる上位の大型捕食者にはこれらの海のレジームシフトの法則は見られないようです。
(参考:ととけん副読本 2020年版)
私のエサであるマイワシが多い年と少ない年があるな~と感じていたのですが、これは海のレジームシフトが関係していたのですね!?
いい発見ができました😄
実体験を聞くことができて、私もいい経験ができました👍
現在の海のレジームシフトの状況は?
ふと思いついた質問なのですが、現在の日本の海は「寒冷期」と「温暖期」のどちらに属しているのでしょうか?
いい質問ですね!
マサバさんは実際に海で生活していて、どう感じていますか?
最近、エサであるマイワシを見つけやすくなり、その数が増えてきているような気がするので、「寒冷期」ではないかと思います。
なるほど!
それも含めて詳しく見ていきましょう!
最近のニュースでは、サンマの不漁やスルメイカの不漁がよく取り上げられている印象にあります。
実際に、サンマとスルメイカの漁獲量は減少しています。
一方で、マイワシはここ数年で大幅に漁獲量が増加してきているようです。
また、マサバに関しても資源量はここ数年で増加しています。
※ここで、「漁獲量」ではなく「資源量」を示したのは、漁獲量に関しては減少しているからです。
詳しくはこちらの記事でご説明していますので、併せてご覧ください。
これらの現状を踏まえると、「温暖期」が終わって「寒冷期」に移行した、つまり、ここ数年で「海のレジームシフト」が起こったのではないかと私は考えています。
私もマサバさんと同じ考えです😊
良かったです!
やはりマイワシの数は増えてきているのですね!
エサが増えるのは嬉しいことです😄
マサバさんらしい感想ですね笑
最後に
「海のレジームシフト」とはいったいどのような現象なのか、また日本における海のレジームシフトの影響について、皆さまご理解いただけたでしょうか?
非常に分かりやすい説明ありがとうございました!
特に、グラフを示してくれたおかげで、海のレジームシフトによる資源量の変化について理解しやすかったです!
こちらこそ、嬉しい感想をありがとうございます😊
最後に私の考えを少し。
「海のレジームシフト」は地球規模の現象であるため、私たち人間の手でどうにかなるものではありません。
よって、例えばサンマの漁獲量が減少してマイワシの漁獲量が増加しているのならば、サンマの代わりにマイワシを食べるようにするなど、この現象によって生じる漁獲量の変化に合わせた生活を心がけるようにする必要がある、と私は考えています。
また、漁獲量の変化の原因を海のレジームシフトだけに限定することもよくないと考えています。
実際に、サンマやスルメイカの漁獲量の減少は地球温暖化や乱獲が原因であるという意見があります。
今、サンマやスルメイカが減少していますが、海のレジームシフトの法則に従うといずれ増加するだろうと考えられます。
よって、多少獲りすぎても大丈夫だろうと考える人もいるかもしれません。
このように考えることは果たして本当に正しいと思いますか?
魚について学ぶ皆さまであれば答えははっきりしていると思います。
人間の世界の難しいことは分からないですが、さかな代表として言わせてもらうと、今ある私たち(資源)を大切にして欲しいです。
貴重なコメントをありがとうございます。
私は何らかの形でさかなの資源保護に関わりたいと考えているので、マサバさんも応援よろしくお願いしますね😊
はい!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
また次回のブログでお会いしましょう!
お疲れ様でした~😄
お疲れ様でした!
2022.05.08 うぉーらる
当ブログにお越しいただきありがとうございます!
管理人のうぉーらるです。
突然ですが!次のグラフをご覧ください!
このグラフは、マイワシ・カタクチイワシ・スルメイカの漁獲量の推移を示しています。
何かお気づきになったことはないでしょうか?
グラフの形に注目してみてください。
マイワシが増加している期間はカタクチイワシとスルメイカが減少しており、一方でカタクチイワシとスルメイカが増加している期間はマイワシが減少していることが見てわかります。
このような「魚種交代」が生じるのは、海洋環境が数十年周期で変化することが原因であると考えられています。
この変化は「海のレジームシフト」と呼ばれています。
今回はこの「海のレジームシフト」について説明したいと思います。
それでは、今回皆さまと一緒に海のレジームシフトについて学んでいくゲストに来ていただきましょう!
どうぞ!!